■Eno.91 レグ=クラウン
DAA4期 |
FI3期 |
約2年前 |
現在 |
■サム
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約2年前 |
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■物語
- 4年前 - |
- 3年前 - |
- 1年半前 - |
ep.[sister]@3日目 「カツカツカツカツ…」 薄暗い部屋に足音が響き渡る。 重々しい協会の兵士の足音ではない、軽快な音。 たどたどしく優しいムドラスの足音ではない、高く響く綺麗な音。 私の部屋<牢獄>を訪れる人では、一人しか思い当たらない音。 「カツカツカツカツ…」 いつもより音が強くテンポが速い。 焦り?いや、違う。苛立ちかな。なにがあったかわからないがどうやら気が立っているみたいだ。 足音が扉の前まで来たのを確認した私は、本を閉じて問いかけてみる。 レグ「姉さん?なにかあったの?」 姉「れぐぅぅぅ〜」 苛立ちを隠しきれない表情で入ってきたのは私の双子の姉、メル=クラウン。 一卵性で顔立ちは似ているが、腰まである長く綺麗な髪が私との違いを決定的にしている。 メル「聞いてレグ!もう信じられない!あの貴族の変態オヤジども!」 レグ「お、落ち着いて姉さん…」 メル「今日の仕事なんだったと思う?貴族のオヤジども私の右手で何を触れって言ったと思う!?」 姉はベフィルの聖女とよばれる国一番の巫女。私とは大きく異なる力がある。 右手で触れたものをどんな魔法や薬よりも早く、完全に治療する力。 クラウン教を作り、代々と受け継がれてきた聖なる力。 レグ「お仕事だったのね、お疲れ様。…何を治したの?」 メル「ぐぅぅ、苛立ちが収まらないわ!」 清楚で礼儀正しく国の誰からも愛される姉。 その姉が普段「民衆に」見せない鬼のような形相で歯軋りをしている。 メル「痔よ、痔!貴族のおえらいやつが俺の尻に触れっていうの!私の!この手で!尻に!」 レグ「…うわぁ…」 メル「あまりの怒りに唐辛子を爪を立てて擦り込んでやろうかと思ったけど、やっぱり触るのはプライドが許さなかったわ!」 レグ「あはは、…結局どうしたの?」 姉さんはまだ苛立ちが収まらないようで、壁をバンバンと殴りながら顔だけこっちを向けて 「聖女様は体が弱いの。貧血で倒れることもよくあるの。そういう設定なのよ、仕方ないじゃない?」 とにこやかに言った。 サム「顔がにやけてるぞ、レグ」 レグ「…ぇえ!?」 サム「思い出し笑いとか、マジキメェ…」 レグ「サム酷い…けど顔が緩んでたのは自覚してるから何もいえないよ。姉さんとのやり取りを思い出しただけ。」 サム「ふむ、別れてから随分たつからな。だがアイアンゴーレムが出ても片手で粉砕できそうなあの姉のことだ、今頃どこか同じ空の下で暢気に昼寝でもしてるさ」 レグ「そうだね、ふふ」 |
ep.[start]
@2日目 そこは白い世界。 ただ白く、ただ眩しい景色。 私が初めて見た、牢獄のレンガ壁以外の景色。 ?「そっか、レグは雪を見るのも初めてだったね」 空を見上げても今の私の目には白しか映らない。 ただ、話に聞いていた内容から、 頬にあたった冷たい感触が雪というものだと理解できた。 レグ「これが…雪?」 ?「ふふ、ベフィルの都は美しい雪の町としても有名なのよ? …暫くは見れない風景になるからね、ちゃんと目に焼き付けておかなきゃ」 レグ「…うん」 目が慣れてきたのか、薄灰色の空と真っ白な町のぼんやりとした輪郭だけが浮き出てきた。 はじめて見る空、はじめて見る雪、そしてはじめて見る街。 そう、私は今この時、14歳になるまで地下牢で暮らしていた。
レグ「うーん!日差しが眩しいけど緑は多いし、空も真っ青で気持ちのいい場所だねっ」 サム「あー面倒くさい。家でごろごろしたいのに、なんでこう好き好んで辺境の地で旅なんぞに出なけりゃならんのだ」 レグ「最近まで大変だったし、こういう目的の無い旅も偶にはいいじゃない?」 サム「その「大変」のせいで、レグの魔力もすっからかんだろうが。魔力が戻る様子も無いし虚弱体質のもやしっ子がやっていけんのかね」 レグ「それはその…あはは、サムが守ってくれれば大丈夫!」 サム「ふむ、仕方が無いな…俺がそのミジンコ並みの体力鍛えなおしたるわブルァァァァァ!」 レグ「うえぇぇぇぇ!?」 |
ep.[サム超先生の生と死の概念講座] @7日目 サム「よーレグよ、自分の能力のことはどの程度知っている?」 レグ「えっ…そうだね、私の左手に触れた人が倒れる…いえ、亡くなっているのは知っているよ」 忘れる訳は無い。 私の手を触った瞬間、感情の消えたあの目を レグ「でも私がわかるのはそこまで。なぜ私が、なぜ触るだけで…とか理由については何も解らないの」 サム「ふむ、大凡だがレグの能力については見当が付いている、それと姉の治癒能力についてもな」 --- ふむ、説明にはまず生命というものの定義を明確にすべきだろう。 生命の定義は諸説あるがね、ここでは3つの要素からなる説を使用するか。 まずは精神的な干渉、感情、自我を司る「魂」 物理的な干渉、魂を定着させるための器である「体」 そして、魂と体を繋ぎそれぞれを安定させる「結」 これら3つの要素が結びつき、ひとつの生命となる。 魂が壊れれば何れ体も壊れるし、またその逆も然り。 最も一般的な死を意味するのは体の破壊だろう。 しかし、レグの能力は体や魂の破壊を行っていない。 そう、レグの能力は魂と体とを繋ぐ「結」の部分に関わるのだ。 |
ep.[Saint
Mel]@4日目 メル「聖女様は体が弱いの。貧血で倒れることもよくあるの。そういう設定なのよ、仕方ないじゃない?」 レグ「あはは、…レンガの壁を素手で崩している人が言う台詞じゃないよ」 姉さんは少し気を抜いて笑った後、すぐに真顔になった。 苛立ちの無い、真剣な顔。 メル「私はね、一日に3人しか治療できないなら本当に困っている人の命を救いたいわ」 姉さんの力には回数に限度がある。 小さな傷、骨折、そして不治とされる病や死に到る毒など、 命への影響の大小に関わらず、1日に3度力を使用すると気絶してしまうのだ。 いつになく静かに、そして強い意志を持った瞳が私を見つめる。 メル「レグ、私と一緒にこの街を出ない?」 レグ「えっ!?」 メル「私がここから逃げるのに、レグを置いてはいけないわ。それにレグに見て欲しいの、外の景色を」 私はこの部屋から出た記憶が無い。 姉さんと世話係のムドラス、見回りに来る無表情な兵士、滅多に来ない父、声しか思い出せぬ母、 そして一面レンガ造りのこの部屋以外の世界は、本を読んだり姉やムドラスの話を聞く事でしか知りえないことだった。 それは、私が死を招く力を持っているから。 |
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ep.[Left
Hand]@5日目 私はこの部屋から出た記憶が無い。 それは、私が死を招く力を持っているから。 そう、私の左手に触るものは全て息途絶える。 私が生かされているのは、幼子を殺してはいけない宗教上の「教義」の為だけ。 だからこそ、居ない者としてここに幽閉されているのだ。 レグ「…私には無理だよ…ずっとここで生活してたから蝋燭の火だって眩しくて直接見れないし、足腰はまともに立つのだってやっとだよ?」 メル「なら光に目を慣らしなさい!そして毎日スクワットでもして体を鍛えなさい!」 レグ「…それに私にはこの左手があるから」 姉さんは一呼吸置いた後に微笑んで、右手で私の左手を握った。 メル「私は貴方の左手に触れるわ、レグの左手に触れてもなんともならないのが私だけとは限らないじゃない?」 メル「それに貴方の力を抑える方法だってあるはずよ。ムド爺だってあの年なのに毎日夜明けまで魔法書をあさって策を探してくれてるんだから」 ???「ワシの話ですかな?」 |
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■過去
DAA4 |
生学0? |
生学 |
FI1 |
FI2 |
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ENo.537 レグ |
忘れた |
忘れた |
忘れた |
Eno60 |
魔術 |
ガンカタ |
罠刺弓 |
地味剣 |
槌火力 |